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2025.04.25NEW

やさしいひとつなぎ、アジアとの繋がりから見える沖縄の新たな可能性

こんにちは。ひとつなぎ株式会社の伊藤です。

これまでのブログでは、オーストラリアでの経験から学んだ「自然との共生」や「多様な価値観の受容」、事業承継や組織づくりの取り組み、そして広島と沖縄という二拠点事業の展開についてお話ししてきました。どの話しも「自然と人をやさしさでつなぎ、お客様の心豊かな暮らしに貢献する」という私たちのミッションの実現に向けた軌跡です。

今回は、少し視点を変えて、アジアと沖縄のつながりについてお話ししたいと思います。2024年11月に台湾で開催されたあるピッチイベント「The Asia Front Innovation」参加する機会があり、アソビバワークスの事業を紹介してきました。そこで出会った台湾の方々との交流や、インバウンド需要の変化から見えてきた新しい可能性について、皆さんと共有できればと思います。

アジアのスタートアップが集う場、台湾での新たな出会い

「The Asia Front Innovation」は、台湾の旅行会社RMトラベルが主催するイベントです。RMトラベルは、大手旅行会社から独立したDaniel Chengさんが立ち上げた会社で、ユニークな体験型ツアーを提供しています。このイベントには、旅行関連のスタートアップ企業が一堂に介します。

参加したのは旅行サービスを提供する企業だけでなく、DXやアプリなどのソフトウェアを開発する企業も含まれ、台湾はもちろん、日本各地や韓国からも参加がありました。このイベントの目的は、お互いのサービスを知り、新たな可能性を探るというもの。私も詳しい内容を知らないまま参加しましたが、特に興味を持ったのは、イベント後に開催される「ポストツアー」でした。

台湾と言えば台北や台中などの都市部が有名ですが、このツアーでは「花蓮(ファーレン)」という東海岸の自然豊かなエリアへと足を運びました。台湾の原住民が運営するキャンプ場での滞在は、通常の旅行では決して味わえない貴重な体験となりました。

このイベント参加を通じて、アジア各国の企業との交流が生まれ、お互いのサービスについて深く知ることができました。そして何より印象的だったのは、台湾の人々が沖縄に対して抱く特別な親しみを、肌で感じられたことです。

台湾の人が感じる沖縄の“近さ”と、次に求める旅のかたち

イベントでのプレゼンテーションでは、アソビバワークスの事業について紹介しました。会場では約70〜80人の参加者がいましたが、「沖縄に行ったことがありますか?」と質問したところ、半分以上の方が手を挙げてくださいました。しかも、そのうちの多くが沖縄を2回以上訪れているという事実に、驚きと同時に大きな喜びがありました。

台湾の方々にとって、沖縄は地理的な距離の近さだけでなく、文化的にも一番近い日本の地域と感じられているようです。特に興味深かったのは、台湾の方々が沖縄のいわゆる「ゴールデンルート」—国際通りや琉球村といった定番観光地にはすでに飽きてきており、代わりに自然を体験できる場所への関心が高まっていることでした。これは、私たちの「自然と一体になる体験」が台湾の方々にも受け入れられる素地があることを示す手応えを感じる瞬間でした。

今回の台湾訪問で特に印象に残ったのは、台湾の空気感や雰囲気が沖縄と非常に似ているということです。台北などの都市部は東京のような大都市ですが、郊外に出ると日本の田舎の雰囲気が広がります。特に東海岸は沖縄と同じ東シナ海の影響を受け、湿度や温度感も似ていると感じました。そして何より、人々の温かさが沖縄の人々と共通していることも強く印象に残りました。台湾と沖縄の親和性の高さを肌で実感できた貴重な機会となりました。

キャンピングカーが変える沖縄旅行―自由度×体験価値の提案―

この高い関心を踏まえ、私たちは「キャンピングカーが沖縄の新しい旅の形」というテーマでプレゼンテーションを行いました。アソビバワークスの特徴は、単にキャンピングカーを貸し出すだけでなく、ルートマップ作りのサポートなど、コーディネートまで一緒に行うというサービスの強みです。

私たちのキャンピングカーは、沖縄の自然をより深く体験するための移動型宿泊施設としてデザインされています。車内には必要な設備が整っているため、手ぶらで気軽に旅に出ることができます。また、沖縄特有の隠れた絶景スポットや地元の人しか知らない穴場も紹介しており、「新しい沖縄」を発見する旅を提案しています。

お客様からは「キャンピングカーだからこそ見つけられた景色がある」「予定にない場所でも自由に立ち寄れるのが魅力」といった声をいただいています。特にビーチで朝日を見たり、満天の星空の下で過ごしたりといった体験は、通常の旅行では味わいにくいものです。

さらに、沖縄本島だけでなく、周辺の島々への小旅行を組み合わせるコースも人気です。キャンピングカーを拠点に、フェリーで離島を訪れる「島巡り」の提案も行っています。このように、キャンピングカーという選択肢を通して、沖縄の新しい楽しみ方を提案しています。

台湾でも拡大中!キャンプ人気が示す“自然と過ごす時間”の価値

台湾では今、キャンプがブームになっています。日本よりは少し遅れて広がってきましたが、台湾も島国で山が豊かなため、キャンプに適した環境が整っています。台湾からのお客様の特徴として、自分のキャンプ道具を持参される方が多いのも印象的です。

アソビバワークスではキャンピングカーとともにキャンプ用品も貸し出していますが、台湾からのお客様はすでに台湾でキャンプ経験がある方が多く、自分の装備を持ってくる率が高く「初めて」という方よりも、台湾でのキャンプ経験を持つ方が沖縄でも体験したいと思われているようです。

このキャンプブームの背景には、日本と共通する社会的な要因があるように感じました。台湾も日本ほどではないにしても、都市部ではストレス社会となっており、競争の中で生きる人々が「オフの時間」「自然の中での時間」を大切にしようという動きが広がっています。

台湾政府も、台北や台中、高雄などの大都市に人口が集中している状況を改善するため、地方都市の魅力を発信する取り組みを行っています。地方に企業を誘致するための優遇策や、若者の地方移住を促進するなど、日本と同様の「地方創生」に力を入れています。

その結果、台北市内に住む人たちが週末は地方で過ごすという「二拠点生活」のような形態も増えてきています。台湾は九州と同じくらいの大きさの島なので、週末に自然豊かな地域へ移動することが可能なのです。これは東京の人々が山梨や静岡にキャンピングカーで出かけるような感覚に似ており、台湾と日本の生活スタイルの共通点を感じさせます。

インバウンド需要の変化、アソビバワークスの可能性

アソビバワークスは当初、沖縄県内および日本国内の方々向けのサービスとしてスタートしました。しかし、現在では多くの海外からのお客様にもご利用いただくようになり、特に欧米からのお客様が多いのですが、アジア、特に台湾からのお客様も増加傾向にあります。

この変化の背景には、海外からのお客様の旅行スタイルがあります。特に欧米の方々は1週間から10日間という長期滞在が多く、じっくりと沖縄の魅力を堪能されています。

また、海外からの旅行者の旅行パターンにも変化が見られます。かつては東京・京都・大阪というゴールデンルートが主流でしたが、リピーターが増えるにつれて、富山、石川、仙台など、新たな地域への関心が高まっています。しかし、これらの地方都市では公共交通機関が十分に整備されていないため、キャンピングカーのような移動手段と宿泊施設を兼ねた選択肢が人気を集めています。

安全な国として知られる日本では、道の駅での車中泊も比較的安全なため、このようなスタイルの旅が多くの方に選ばれています。キャンピングカーで旅をする魅力が、日本でも徐々に広がってきていることを実感しています。

このようなニーズに応えるため、私たちのキャンピングカーには机、電源、Wi-Fiを完備しており、ワーケーションにも対応可能な設計になっています。ホテル滞在と移動を一体化した「最高の移動オフィス」として、仕事と旅を両立したいという新しいライフスタイルもサポートしています。

アジアと沖縄、未来へつながる観光の新たな形

沖縄の観光の可能性はまだまだ広がっています。現在、沖縄には台湾、香港、中国、韓国、タイ、シンガポールなどからの直行便があり、マレーシアなど、これまであまり見られなかった国からのお客様も増えています。

東南アジアの国々は経済成長により旅行意欲も高まっており、アジアからのお客様との交流がさらに深まることを期待しています。特に台湾とは地理的にも文化的にも近い関係にあるため、より密接な関係を築いていくことができるのではないかと考えています。

沖縄観光の新しい形として、私たちが提案しているのは、単なる観光地巡りではなく、自然と一体になる体験型の旅です。キャンピングカーを利用することで、従来のホテルステイでは味わえない自由度の高い旅が可能になります。特に、海外からのお客様は「モノ」よりも「コト」に価値を見出す傾向が強く、体験や自然、アクティビティを心から楽しまれています。

また、沖縄のオーバーツーリズム問題に対する解決策としても、キャンピングカーによる分散型観光は有効だと考えています。主要観光地に集中せず、やんばるや国頭など、これまであまり注目されてこなかった地域の魅力を発信することで、観光客の分散と地域の活性化を同時に実現できる可能性があります。

このような交流の深まりを受けて、私たちは双方向の関係づくりも視野に入れています。沖縄での経験を活かし、将来的には台湾でもキャンピングカーでの旅を提案できないかという可能性も検討し始めています。もちろん、市場調査や現地の環境、トイレなどのインフラ整備状況など、確認すべき点も多くあります。

また、より多くのアジアからのお客様に快適に沖縄を楽しんでいただくため、多言語対応の強化も進めています。4月からは香港出身の外国人スタッフが新たに加わります。彼は元々アソビバワークスのお客様で、沖縄の魅力に惹かれて移住を決意された方です。北京語と広東語の両方に対応できるため、より多くのアジアからのお客様とのコミュニケーションがスムーズになるでしょう。このような人材の多様化も、私たちがアジアとの架け橋となるための大切な一歩だと考えています。

沖縄から全国へ、3カ年計画と台湾展開の構想

これからの3年間で私たちが目指すのは、沖縄本島でのキャンピングカーを現在の4台から7台に増やし、広島に新たな拠点を開設することです。そして2026年から2027年には東京、大阪、福岡へとサービスを広げていきたいと考えています。これらの都市を選んだのは、海外からのお客様も多く、アクセスの良さも魅力だからです。

また、「共同オーナー制度」という新しい取り組みも始めています。これは、キャンピングカーに関心を持つ方に共同オーナーとして参加いただき、一緒に素敵な旅の体験を広げていこうというものです。シェアホテルのような形で、アソビバワークスがお客様のキャンピングカーをレンタカーとして運用を行い、収益の30%をお支払いするような仕組みを考えています。運用5年後には車両をお返しして自分で使うことも、売却することも選択いただけます。

将来的には、成田で車を借りて、日本各地を周遊し、大阪で返却するといった「乗り捨て」ができるネットワークも実現したいと考えています。これにより、より自由度の高い旅のかたちを提案できるようになるでしょう。

また、台湾の方々との交流を深める中で、現地のパートナーと協力して台湾でも同様のサービスができないか検討を始めています。台湾では今キャンプがブームとなっており、自然を楽しむライフスタイルも広がっているため、親和性を感じています。

もちろん、お互いの国の特徴やニーズの違いもあります。台湾の環境やインフラの状況、現地の方々のニーズをしっかりと理解することが大切です。そのため、まずは沖縄で台湾からのお客様をおもてなししながら、交流を深めていこうと考えています。

自然を愛する心の架け橋、台湾と沖縄の循環する絆

台湾と沖縄には、地理的な近さだけでなく、文化や風土にも多くの共通点があります。両地域とも美しい海と山に恵まれ、人々は自然と共に生きる知恵を持っています。

台湾での体験を通じて、私は改めて自然の中で過ごすことの価値を再認識しました。台湾の原住民の方々が自然の恵みを大切にしながら生活している姿は、私たちが目指す「自然と人をやさしさでつなぐ」という理念と重なります。

アソビバワークスでは、単に観光地を巡るだけではなく、沖縄の自然の中で心が解放される体験を提供しています。これからも台湾をはじめとするアジアの方々に、沖縄の豊かな自然と文化を体験していただき、日常から離れた癒しの時間を提供していきたいと思います。

そして将来的には、沖縄と台湾、さらには広島も含めた自然体験のネットワークを構築し、互いの文化や価値観を尊重しながら、心豊かな旅の選択肢を増やしていければと考えています。

私たちひとつなぎは、これからもアジアと沖縄の架け橋となり、「やさしさの連鎖」を広げていくことで、より多くの人々の暮らしに貢献していきたいと思います。

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